居合道 道場案内所 



入門されるキッカケというのは人それぞれだと思います。元々興味があった、格好良さそうだった、刀を持ってみたかった、など。しかし「続ける」には理由があると思います。

今回はいつもと少し視点を変えて、若い世代がどこに居合の面白さを見出しているのか、という点にスポットを当ててみました。立命館大学 居合道同好会の篠原莉奈 様にお伺いをしました。




私からみた居合道の面白さ


ー 立命館大学 体育会 居合道同好会 24代副将 篠原莉奈 著


こんにちは。立命館大学体育会居合道同好会24代副将の篠原莉奈です。流派は伯耆流、全日本剣道連盟に所属しています。今回は、私が居合道に興味を持ったきっかけや面白さについて書かせていただきます。そのため、先生方のように崇高な文が書けるわけでもありませんが、どうぞ温かい目でご容赦ください。

1.きっかけ


私が武道に携るきっかけは、小学校の頃見た袴姿の高校生に憧れを持ったことです。中学校では、迷わず薙刀部に入りました。そして始まる6年間の薙刀なぎなたライフ。

大学では薙刀部は存在せず、新しいことでも始めるかな〜と色々見てみました。しかし湧き上がる武道したい欲。武道、経験者が少なく大学から始める人が多い、男女比率が偏っていない、週3で楽そう、藁を切ってみたい、との理由で、見学に行ってみました。

先輩方は数々の大会で受賞しており、力強く美しい演武をされる方ばかりでした。かっこいい!よし入部しよう。と、あっさり入部しました。(藁は結局切れませんでした)

(ここぞとばかりに宣伝しておきますが、2016年から2018年まで、全日本の個人戦優勝者は我が立命館の先輩方です!☺️☺️すごい!)

2.居合の面白さとは?


居合の面白さってなんだろうなぁと考えてみましたが、少し難しいですね。
自分自身を高めることができる、男女共に戦える、日常生活とは少し変わった自分になれる、人とのつながりが増えた、理屈が通っている、体の使い方がわかる、集中力が上がった、そもそも珍しいから会話のきっかけになる、諸々あるのですが…

居合をしていない人に向けて書いているので、すごーく単純なお話からさせてもらうと、日本刀が持てる!という点。笑
刀ってすごくかっこよくないですか?少し高いなーとは思ったのですが、竹刀のように消耗品ではないし、4年間続けるとしたら…あれ?意外と安い。自分の好きなようにカスタマイズして、自分だけの刀が届いた時は喜びで震えました。(請求書を見ても震えましたが)

少し真面目な話をすると、実戦上の利得と演武としての美しさが兼ね備えられている点が面白いと感じています。「肘を開いて切り下ししてるでしょ?力の入らない持ち方だし、そうすると脇が開いて刀の止まりが悪くなる。」「正しい運剣をしないと、柄が相手に向かず、隙だらけだよ」私のできていないことを的確に見抜ける先輩方すごーい。などと感動していましたが、『体の使い方が間違っている→正しい演武はできない→カッコよくない』という流れがある事に気がつきました。刀を持っている手だけではなく、足、腰、姿勢、目線など身体全てに意識を置いて客観的に自分を捉えながら演武をしてみるとより良いものになりました。

難しいことを言っているように聞こえますが、他の競技も同じかな〜と考えています。例えば野球。足を肩幅に広げ、きれいなフォームでバットを振ると力強いスイングができる。汚いフォームでは、きっとホームランなんて打てないのではないかなと思います。ホームランを打つためには、体の使い方からバットの使い方まで意識している気がします。
ただ、形にこだわりすぎると空っぽな居合になってしまうので、目の前の敵への気迫や臨場感も必要になってきます。

また、きちんと稽古をするときちんと上手くなることにも喜びを感じました。
1回生(大学1年生)の時はほとんど受賞した事がなく、刃音がならない、刀が止まらない、手の内が硬い。力強く振れるわけでも、キメがあるわけでも、所作が綺麗な訳でもなく、お世辞にも上手いとは言い難い実力でした。当時は大会で賞を貰っている他大学の同級生を見て「上手い人とそうじゃない人はやっぱり居るな〜 私は上手くないから、のんびり楽しく居合をしよう」などと向上心の全く無い事を思っていました。(先輩方スミマセン)

ただ、先輩に指導して頂いたことはきちんと守ろう。先ほども述べましたが、自分の体の隅々まで意識を張り巡らそう。と意識して稽古を続けていました。

月日は流れ、2回生。後輩が入部して初の大会で、「カッコいいところ見せたいな〜」などとぼんやり思っていたらなんと準優勝を頂きました。マグレだろうとは思っていたのですが、実際に旗が上がると稽古してきた自分を先生方が肯定してくれたようで嬉しかったです。一歩一歩着実に進むと、気がつけば景色が変わっているようでした。受賞した事は自分の大きな自信につながり、次の大会に向けての意欲も生まれました。

稽古会や大会に積極的に参加することで、所属以外の先生からも顔と名前を覚えて頂き、ありがたくも賞を頂けた時は、「さっきの試合、良かったけどなぁ、ここが足りん」「篠原さんはここが出来てたから旗を上げた」などお言葉を頂き、逆に早々と負けてしまった時は「見てたけど最後の最後で失敗してたなー、まだまだ稽古しないとなぁ」などと愛のある叱責をされたり。
自分のフィードバックもできるし、なにより見られる事、気にかけてくれる事、自分のことのように喜んでくれることが嬉しく、次の大会も頑張ろう!と思えました。

先生方だけではなく、同じ立命館の部員同士や、他大学の同期、先輩、後輩などと居合をきっかけに仲良くなり、交友関係は非常に広くなりました。お互いに競い合えるライバルであり、試合や稽古が終われば和気藹々と話ができる良い関係を築けました。

居合道をしていない自分を想像できないほど、私の大学生活は居合道によって形成されたといっても過言ではありません。

3.迷っている人へ


さて、居合にすこーーしでも興味のある方がここまで読んでくれていると仮定をして。
最近は『刀○乱舞』などのゲームで刀に興味を持つ方、そもそも歴史が好き!日本文化がかっこいいという方が増えていると思います。刀に興味はあるんだけど…と入門の一歩が非常に重い方。とりあえず見学に行ってみましょう。何事も動かなくては!

周りに入門理由を尋ねると様々で、「剣道やってた」「たまたま見に行ったら引きずり込まれた」「ご飯に釣られてなんとなく」わりと適当です。笑

理由はなんでも構いません。居合に興味がある、素晴らしい事だと思います。この文章を読んでくださってるという事は、かなり興味をお持ちで、しかし最初の一歩が出ないだけなのかなぁと推測しています。

女性だから、歳だから、大学生じゃないから、どうせ経験者ばっかりなんでしょう?色々と心配だとは思います。

学生のみしか知りませんが、男女比は1:1、むしろ女性の方が多いそうです。何歳になっても始める事はできます。大学生を倒し、優勝した小学生がこの前の大会でいました。少なくとも数百人が毎年初心者として居合を始めています。何歳でも早すぎる遅すぎるという事はないです。

そして高校生の皆さん。是非、立命館大学へ。笑
一緒に青春しましょう。一度見学にお越しください。

この文章を読んで、1人でも居合道に興味のある人の背中を押せたら良いなぁと思います。ここでお伝えした居合の良さはほんの一部です。流派が変わればまた違った面白さがあるし、私の語彙力のせいで言葉にできない面白さももちろんあります。笑を切ることで面白さに気がつく人もいると思います。笑

4.最後に


居合は生涯スポーツ。何歳になっても続けられるものだと思います。
以前、とある大会に参加させて頂いた時に、主催の先生から学生のみ呼ばれ、「学生さんね、みんな居合をやめないで頑張って続けてね」と言われました。やはり4年間でやめてしまう人が多いのでしょうか。社会人になり環境も変わると続けることが難しいのかなとも思いましたが、できるだけ卒業後も居合を続けて行きたいです。OGとなり、先輩方に指導して頂いたことを未来の後輩たちに還元したいです。

出来るだけ長く居合道を続けて行こうと思いますので、皆様にどこかの大会でお会いできる事を楽しみにしています。

立命館大学 居合道同好会の皆さん
立命館大学 居合道同好会の皆さん




関連リンク


立命館大学 居合道同好会 紹介ページ



※記事の内容は、寄稿頂きました篠原 莉奈 様の文章であり、居合道 道場案内所としての意見ではございません。




※当サイトへのリンクは自由です。特に連絡する必要等はありません。
※当サイト内で使用されている文章・画像等の著作権は居合道 道場案内所に帰属します。無断使用等はご遠慮ください。
©2006-2024 居合道 道場案内所