居合道 道場案内所 



2020年、新型コロナが流行する中、居合道界で最も活動していたのは間違いなく鵬玉会ほうぎょくかいです。

多くの道場は稽古場所が閉鎖されたことにより活動自粛を余儀なくされましたが、鵬玉会ほうぎょくかいは、活動をオンラインに移し、結果として無外流むがいりゅう最大の組織となりました。さらには東京浅草に自前の本部道場を開く、という他の団体とは全く異なる動き方をしていました。なぜ鵬玉会ほうぎょくかいは外出自粛が叫ばれるコロナ禍に本部道場の開設を決めたのか。そのときリーダーは何を考えたのか。

今回は鵬玉会ほうぎょくかいのリーダーである武田 鵬玉たけだ ほうぎょく氏に、2020年をまとめていただきました。




鵬玉会の新型コロナ戦争 鵬玉会 かくたたかえり


ー 国際居合道連盟 鵬玉会 武田鵬玉 著


1.新型コロナ戦争。2020年はその一言につきる


武田鵬玉 氏2020年新春、私たちは京都 武徳殿ぶとくでんにいた。明治天皇の天覧試合のためにつくられたそこは、玉座ぎょくざを今も残し、その伝統ゆえに武道団体にとっては一度は立ちたい、その格を問われる場所だ。

第4回 全日本かた試合選手権大会。海外メディア、国内テレビ局、新聞社がそれを取材し、私たちはその栄誉を感じていた。しかし、そのころ、足元に押し寄せる驚異があった。

中国 武漢に始まった「新型コロナ」だ。ほどなくテレビのニュースは武漢の病院が瀕死の人であふれる映像を流しはじめた。スペインやイタリアの病院のパニックぶりを見るにいたっては、かつてのペストやエボラ出血熱のような恐怖を感じなかった日本人がおそらくいないのではないだろうか。

2.新型コロナは私たちを試す


この新型コロナが武道団体にも強引な再編を要求したように思う。

私は恐れた。

もし私たちが恐れるばかりで何も手を打てなかったとしたら、その腰くだけぶりはあきれられ、がっかりされるのは間違いない。どんなに偉そうに技術云々を話そうが、いざというときの戦い方が腑抜けたものなら、それは記憶され、淘汰とうたされるだろう。「武道家」であるなら、それを恐れなければならない。

武道とは究極「生き残り」の道だからだ。

「無外流居合を残し、次代につなげる」ために、鵬玉会の2020年は、「新型コロナ戦争」その一言につきる一年となった。新型コロナは私たちを試したのだ。

武道とは究極「生き残り」の道
武道とは究極「生き残り」の道


3.止まった組織・進もうとした組織


「これは簡単には終わらない」ことは容易に予測できた。しかし、「いずれコロナはおさまる。落ち着いたらまた始めればいい」と考え、ここで止まる組織がほとんどに見えた。だが、そんな根拠は、まさに「神頼み」「援軍のない籠城ろうじょう」だ。

確かに正しく怯え、備える必要はあるだろう。しかし、必要以上にただ怯え、道場を閉めるだけで何もしないでいる自分を武道家として許せるだろうか。なぜなら、武道とは生き残りの道なのだ。私たちは試されている。それは記録に残る。止まらずに進もうとした組織になろう、と決めなければならない。

4.鵬玉会はどうするか?


繰り返し言いたい。ここでの選択をどうしたかは重要だ。このコロナが今後も続くことを前提に、「どのような組織なのか」を宣言できるのがこの瞬間だ。

「生きのびる技なんです」

普段それを説明していながら、実際にことがおこったときに、怯えて何もできなければ、自分に恥を感じるだろう。そんなことはごめんだ。

緊急事態宣言が出された4月直前にオンラインで緊急幹部会を開いた。全国の幹部との意思統一が重要だ。組織力で戦わなければ、この危機は乗り切れない。

まず取り組んだのは、居合史上ありえなかったオンライン化だった。

実は緊急事態宣言が出る4月にさかのぼること40日前、その長期化を予測し、それまであった通信教育のノウハウをさらにブラッシュアップしていた。双方向でやりとりできるよう番組化したのだ。通信教育と道場生の壁を無くし、どちらも参加でき、さらにアーカイブで確認もできる。

幸い私たちにはノウハウも、楽しませる技術もあった。するとどうだろう。リアルタイムで、100名を超える一門が集まったのだ。想像してみてほしい。100振りの刀が振られている稽古が毎週行われている姿を。

これは前代未聞の奇蹟だ。鵬玉会においてはこの時期、あってもおかしくなかった休会も退会もほとんど出ていない。毎週100名超。ユーチューバーからしたら大した数字ではないかもしれない。しかし、これは数分覗き見したのではなく、90分稽古している一門の数字なのだ。楽しくなければ毎週これが続くことはない。

「また見たい!」と思ってもらえるように楽しませることも重要
「また見たい!」と思ってもらえるように楽しませることが重要


5.そして浅草蔵前に総本部道場


そしてオンライン化と同時に東京の蔵前に総本部道場を開設した。「こんな時期に道場を出すなんて」と思う方もいるかもしれない。衛生管理をきちんとする、加湿と換気をきちんとすれば、そう恐れることもないとわかったから、ということもある。
 
しかし、ここはチャンスだと思ったのだ。

もちろんたくさんのお客様をお呼びしての道場開きは難しい。しかしそれでも、世界最大の武道団体である、国際空手道連盟極真会館 総本部長の山田 雅稔やまだ まさと師範、世界チャンピオンの鎌田翔平かまだ しょうへい 東京城東湾岸支部長、北辰一刀流 玄武館ほくしんいっとうりゅう げんぶかん日高見ひたかみ塾頭、財団法人無外流の久保田くぼた代表理事、出版社やメディアの方がたが温かい言葉をくださった。私の師である新名にいな玉宗ぎょくそう宗家が、340年の歴史を背負い、お客様にも頭を下げてくださった。

この様子に一門全員が希望を持ったに違いない。リーダーの仕事は希望を、ビジョンを語ることだ。

6.無外流最大の団体へ


一門の幹部は日々連絡をとりあい、一人ではないことを感じていたと思う。終始ブレなかったからこそ、問い合わせの殺到を呼び、そして無外流最大の団体となったのだと思う。

最大の団体。それは、私たちが何をするかが見られる「事実上のスタンダード団体」となったということだ。

事実上のスタンダード団体をマーケティング用語で「デファクトスタンダード」という。その組織がやることが、業界を牽引するという。それだけ責任があるということだ。今ひしひしと責任を感じている。

決して神頼みではなかった鵬玉会ほうぎょくかいのコロナ戦争の記録として「鵬玉ほうぎょくイアイ年鑑ねんかん2020」を発行した。これを見れば、鵬玉会ほうぎょくかいがブレのない組織であること、どんなときでも自分を磨く安心感を得ることができると思う。

山岡 鉄舟翁やまおか てっしゅうおうは、武道の行き着く先は「施無畏せむい(恐怖心を取り除き穏やかな心を与えるという禅の言葉)」とおっしゃった。毎日疑似の生死を道場で体験し、恐れるものはないことを知る。だから死をも逍遥 しょうよう(気の向くままに、そこここを歩く)として受け入れる。

大森曹玄おおもりそうげん老師ろうしは「殺伐の剣が、その絶対安心の観音の境地に至る」とその鉄舟翁てっしゅうおうをあらわした。

私たち鵬玉会ほうぎょくかいの2020年は、その言葉を裏切らなかった一年であったと記憶したい。

旧会津本陣 くろ谷今回光明寺での演武
旧会津本陣 くろ谷今回光明寺での演武


旧会津本陣 くろ谷今回光明寺での撮影の様子
旧会津本陣 くろ谷今回光明寺での撮影の様子


旧会津本陣 くろ谷今回光明寺での撮影の様子
旧会津本陣 くろ谷今回光明寺での撮影の様子




旧会津本陣 くろ谷今回光明寺での武田氏の演武(関西観光本部のプロモーションビデオ)





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