居合道 道場案内所 



久武館きゅうぶかん道場は明治38年に設立された非常に長い歴史を持つ剣術道場で、現存する武道場としては四国一の歴史を持ちます。久武館道場では、初代館長 久保くぼ 源次郎げんじろう利雄としおが柳生神影流を受け継いだ当時のまま武道神事の教えや伝統が現在まで受け継がれている全国的にも非常に珍しい道場で、現在でも武道信仰の本山 霊峰剣山つるぎさんを始め、各地の神社などで奉納演武を行っております。

いにしえからの教えと伝統を守りながら"剣を修練する"とはなにか。久武館道場 当主(第五代館長)で、NPO法人 徳島県古武道協会理事長でもある戸村 様に執筆をしていただきました。




久武館道場の求める剣とは


ー 久武館 第五代館長 戸村博史 著



1.柳生神影流とは


柳生神影流の演武柳生神影流やぎゅうしんかげりゅう」は、関ヶ原の合戦前に土佐(現在の高知県)長宗我部氏ちょうそかべし監視の為、阿波あわ(現在の徳島県)に派遣された柳生やぎゅう宗矩むねのりこう柳生やぎゅう十兵衛じゅうべいこう直門である木村きむら郷右ヱ門ごうえもん尉義邦やすよしくにによって伝えられた徳川将軍家とくがわしょうぐんけ御流儀ごりゅうぎの流れをくむ柳生新陰流やぎゅうしんかげりゅう(江戸柳生)の一つであり、正式名称を阿州あしゅう柳生神影流やぎゅうしんかげりゅう兵法剣術といいます。現在、徳島県のみならず四国に伝承された剣術流派のうち、活動が確認できる唯一の剣術流派となっています。

柳生神影流の特徴としては、相手の攻撃を流し、その力を利用した瞬殺の動作を重視していることです。これは流祖である柳生やぎゅう宗矩むねのりの「活人剣かつじんけん」「大なる兵法」「無刀むとう」「剣禅一致けんぜんいっち」などの新しい兵法思想が影響しており、歴史的背景として江戸太平えどたいへいの世では甲冑かっちゅうを着て無益な争いをすることが無くなり、剣術が単なる戦の手段から、護身や自らの身をりっする姿に形を変えてきたことがあげられます。


2.戦前の武道場、武道神事とは


私共の久武館きゅうぶかん道場は明治38年に設立され、現存する武道場では四国一の歴史があります。また伝承形でんしょうがたや武道神事は現在でも当時のまま守り続けられています。

戦前の武道場は、神社と同じ拝殿はいでん幣殿へいでん神殿しんでんつくりになっており必ず神棚が祭られています。これは剣術が神事しんじ邪気払じゃきばらいから生まれており、武道と神事が切っても切り離せない関係であることを表しています。武道神事は流派やその土地の文化伝統の影響が色濃く反映されており、私共の武道神事には、形の練習だけでは習得できない奥底に流れる流派の教えや奥義が隠されており、宗矩むねのり公の活人剣、剣禅一如けんぜんいちにょなどの教えの片凜へんりんを感じることが出来ます。

久武館道場には神棚がある
久武館道場

道場での稽古風景

剣の舞

巫女舞



3.なぜ剣を修練するのか


剣の修練で得るものは、技術や体力だけではなく「心のやりとり」だと思います。相手への親愛、情、優しさ、敬意、感謝、信頼、はたまた神前しんぜんでの畏怖いふは、すべて形がなく目に見えない物ですが、人はそれを感じ、受け止め相手に返そうとする。それが古来より続く日本人の心であり、失われつつある日本の文化です。そこには常に他人に対する親愛の情や優しさである「じん(意味:おもいやり)」の心が存在し信頼関係が生まれます。その強い絆が広がり「もん(意味:一族)」というさらに強い絆が生まれます。

令和の時代は、自分の身は自分で守る個人主義の強い時代になると思います。進学や就職、人生での大きな困難に直面したときに乗り越える強い精神力の源は、この強い絆が必要であり、その絆を持ち続けることこそ、今の時代を生きる大きなかてになります。剣の修練の奥底には常に人が大事にしなければいけない、五行ごぎょう八徳はっとくの教えが隠されており、それを無意識のうちに習得することは、個々の人生の大きな羅針盤らしんばんとなり、どんな困難な状況でも乗り越える力を自然に身につけるようになっています。

また柳生神影流は阿波あわの地に伝承されてから独自に変化を遂げました。それは流祖の教えや成立背景を理解し、その時代の継承者がその時代のニーズに合わせながら指導する相手のことを思いやり改良したからです。流祖の教えを忠実に守ることも大切ですが、時代に合わせ剣術が人の幸せに寄与するように改良するのも継承者の使命であり、流派を繁栄させる要素であると考えています。


4.久武館道場の求める剣とは


「剣は単なる武道ではなく人を生かし育てるもの」私共の柳生神影流は非常に静かな剣です。例えるなら大自然に水が流れるがごとく無駄のない剣術です。日常生活で無駄な力を抜き生活することは、長い人生を通して非常に有効な糧になります。

これは常に死を意識することで自分に与えられた状況を理解し、人生という時間を無駄に過ごさず有効に使うという教えです。

この教えは幸いにも久武館道場で守り続けられており、地元徳島の方にも受け入れられ公立幼稚園などで体験会を開催するなど脈々と後世に受け継げられています。

幼稚園体験
幼稚園体験


大麻比古神社奉納演武大会





久武館道場 練習風景






関連リンク


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※記事の内容は、寄稿頂きました戸村博史 様の文章であり、居合道 道場案内所としての意見ではございません。




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